fbpx

Column Category :

料理と酒を楽しむコツ(その2)

料理と酒を楽しむコツ(その2)

料理と酒を楽しむコツ(その1)の続きになります。
では、前回のおさらいから。ワインやビールが料理と合うと感じるメカニズムについて話をしました。
ざっくりまとめると…

  • 赤ワインとステーキでは、酸とポリフェノールにより脂と動物性蛋白質を洗い流し(ウォッシュ効果)、それぞれ違った方向性の「美味しい」を繰り返し食べたくなる。
  • 赤ワインと刺身では、酸とポリフェノールで味覚が占領され刺身の味が負けてしまい、「美味しい」と感じられなくなる。
  • ビールと色々な料理では、ビールがウオッシュ効果を発揮するとともに、苦みが料理の味わいを引き立てて「美味しい」と感じられる。

といった具合です。なおこの説明は、個人的な見解も含みますので、ご了承ください。

日本酒とステーキ

それでは、ここからが本題。日本酒と料理の相性について考えてみましょう。

まず日本酒とステーキを合せると、どうなるでしょうか?
辛口過ぎず、香りも控えめな、濃醇な純米酒を例にとって、ステーキを食べたときを想像してみましょう。

日本酒は赤ワインに比べて肉の油を洗い流すほどの強力なリセット力は持っていません。
まず、ステーキを食べた時の口中は、脂にまみれ肉片の味わいが舌に残っています。そこへ、日本酒が入ってきます。リセット力は弱いので、肉の感覚が完全には味覚が洗い流されず、リセットされません。口の中には、肉の脂が中途半端に残り、少しドロリとした後味を感じるかもしれません。
これを繰り返すと、ステーキの脂に飽きてきて、日本酒の味わいも感じにくくなり、残念な経験となるのです。

以上が、日本酒とステーキがミスマッチするメカニズムです。
日本酒の中でも古酒のように味がとても濃いものもあるので、ステーキに合う日本酒が存在している事も確かです。しかし、淡麗なタイプや、飲みやすい食中酒などでは、なかなか合せるのは難しいのではないでしょうか?

日本酒と刺身

最後に日本酒と刺身です。
これは、日本酒に合う料理として王道ともいえるものでしょう。

刺身は肉料理よりも薄味です。
これは口中の後味が落ちやすいということです。日本酒の弱いリセット力でも、十分だということが分かりますね。
刺身を味わいます。口中には魚の美味さと、醤油の香り、少しの生臭さが広がります。次に日本酒が入ってきます。刺身と醤油の味わい、生臭さが日本酒によってリセットされます。
それと同時に、日本酒の繊細な味わいが広がります。刺身、日本酒それぞれの方向性の異なる旨味の記憶が残され、「美味しい」ループが発生するのです。

ただし、日本酒でも味が濃くて甘いものがあります。そのようなタイプでは刺身の味わいを消し去り日本酒の味の記憶に塗り替えられてしまいます。つまり、どんなタイプの日本酒であっても、刺身が良い出会いになるとは言えません。その点はご注意を。

(食中酒について)終わりに

適当に食中酒と料理を合わせても、味の調和にならないことは経験から分かっていました。それでも、実際に意識していないと、なかなか良い組み合わせを探すのは難しいものです。

今回は、ウォッシュ効果という調和のひとつを紹介しました。これ以外にも、調和させる方法が何種類か存在しますが、それは追々説明しようと思います。
この記事がきっかけで、清酒に限らず料理と調和させる為のコツを、皆さんの中に持って貰えたなら幸いです。