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料理と酒を楽しむコツ(その3:食前・食後酒)

料理と酒を楽しむコツ(その3:食前・食後酒)

料理と酒を楽しむコツ(その1)(その2)では、食中酒としての料理の合わせ方についてご紹介しました。

その中で、日本酒はの多くは食中酒と説明しました。しかし、日本酒にも食前・食後酒向きのものがあります。今回は、その食前・食後酒についてお話ししましょう。

料理と酒の関係

酒類を分類するひとつの目安として飲酒のタイミング、つまり食中酒か、食前及び食後酒かに分類できます。
食前・食後酒は、酒そのものを味わうことが目的の一つとなっており、食中酒とはまったくスタンスが異なります。酒の香味をじっくり味わう際に、料理の存在はほぼ不要で、軽いつまみを伴う程度となります。つまり

 食中酒の場合は…  料理(主) 酒(従)
 食前・後酒の場合は…酒(主) 料理(従)

となります。

一般的に、食前酒に向いているのはリキュール等の糖分の高いもの、そして、食後酒には、ブランデー・ウイスキー等の蒸留酒が向いていると言われています。
これらは個性豊かで酒類のもつ特徴、味わいを堪能できる酒類ばかりです。料理の引き立て役にはならない「つまみなし、これだけで美味い、味わいがある。」という酒、それが食前・食後に向いている酒です。

食前酒

香りを楽しむ日本酒(イメージ)

先ほど「食前酒に向いているのはリキュール等の糖分の高いもの」と説明しましたが、日本酒ではいったいどんなタイプが食前酒に向いているでしょう。

一つは、高い吟醸香を持つ吟醸酒です。
吟醸酒/大吟醸酒の中には、華やかな香り、フルーツのような香りなど、香りの強いタイプがあります。その香りの高さが邪魔して料理の引き立て役になりにくいのです。
そのような酒は、簡易な前菜などをつまみに、じっくりと味わい、杜氏さん・蔵人さんがどれほどの苦労をして造ったかと、想像しながらゆっくりと楽しんではどうでしょうか。

しかし、吟醸香の高い吟醸酒を食中酒として飲んではいけないかというと、実はそんなことはありません。
料理とうまく合わせてやれば、十分に食中酒にもなり得るのです。
何より、嗜好品なので飲み手が呑みたいように呑めば、それなりに愉しめることは確かです。
日本酒というのは、それぐらいポテンシャルを持っているのです。

消費量が少ない食前/食後酒

出荷前の日本酒(イメージ)

食前及び食後酒の消費量は、食中酒の消費量と比較すると少ないです。1、2杯の酒をゆっくり楽しむ食前・食後酒と異なり、食事とともに楽しまれる食中酒は、飲酒時間が長い傾向にあります。皆さんも、食事をしながらついついお酒が進んでしまう、そんな経験されたことはないでしょうか?
つまり、たくさん売れる酒は、食前・食後酒ではなく、食中酒なのです。

食中酒の香味には、条件があります。
それは「甘さはできるだけ控えた酒であること」です。

甘い酒(糖分)を取ると満腹中枢が刺激され、わりと早く満腹感を感じてしまいます。
したがって、食事中の酒自体の消費量も伸びないことになるのです。

日本酒は、他の酒類と比較すると甘く感じられますが、それは酸味があまり感じられないことと、アミノ酸の含有量が多いことに起因しています。
日本酒の成分的には、アルコール分1%当たりの糖質の含有量は、赤ワインよりは多く、ビールより少ないのです。日本酒の糖度の他、香りや酸味などを上手く調整されて、日本酒は甘いもの、甘さを控えたものが造られているのです。

(食前・食後酒について)終わりに

今回は食前・食後酒の話でした。
昔、吟醸/大吟醸のような酒が高価で生産数が少なかったのは、磨きが高く原料費がかかることに加え、嗜好品の象徴のような食前・食後酒に向いていた為だと思われます。
現代は酒造技術が進化し、人の舌を喜ばせる商品を数多く出せるようになりました。また、価格も比較的安価に設定できるようになったのでしょう。価格以外の面からも、ご自身でお好みの食前・食後酒を探してみてはいかがでしょうか?

次回は、「五味調和」について説明してみようと思います。