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料理と酒を楽しむコツ(その4:コクと苦み)

料理と酒を楽しむコツ(その4:コクと苦み)

料理と酒を楽しむコツ(その3)では、食前/食後酒の話をしました。そこで、お酒の甘味について触れたので、今回はもう少し味そのものに踏み込んだお話にしましましょう。

日本酒の味の基本ルールは、シンプルです。
日本酒は、5つの基本味である「甘味」「酸味」「辛味」「苦味」「渋味」の五味(ゴミ)があります。 それぞれの味が、バランス良く調和していれば人は 「美味しい清酒である」 と感じられます。

では、バランスよく調和するとはどういうことでしょうか?
五味の解説と共に説明していこうと思います。

味の基本ルール

ざっくりと説明すると、以下の項目をすべて満たしている状態が、五味が調和しているということです。

  1. 五味のいずれの味も偏って感じられない状態
  2. コクがあると表現される味わいがある状態
  3. 飲み込んだ後に、舌の上からコクが消えてゆき、後口がすっきりしている

コクの代わりに「味の濃さや幅」と言った言葉で表現する人もいます。

ビールジョッキ(イメージ)

昔、ビール会社のキャッチコピーに 「コクがあって切れが良い」 というのがありました。 これは、五味の調和を巧みに表現していて、あらゆる種類の酒に使えると言ってもいいでしょう。

ここで新しい表現が出てきました。
キャッチコピーにある 「切れが良い」 とはどう言うことでしょうか?

これは、味が舌に残らないことを表します。
美味しさを感じ飲み込むと、舌の上から味わいがすぅーっと消えてゆくことを表しています。つまり、「後口がすっきりしている」と同意語ですね。

味が消えてしまうと美味しさが無くなると思われるかもしれませんが、味わいがいつまでも舌の上に残っていると、しつこいと感じ、飲み飽きてしまいます。次の一口のためには、”飲み込んだ後、適度に味わいが消えてくれること” が大切なことなのです。
先ほどのキャッチコピーは、「美味しくて、しかもいくら飲んでも飲み飽きしない」 = 「いくらでも美味しく飲める酒です」 というアピールなのですね。

一方、五味が調和していないと、欠点を持った酒とされます。
調和が崩れた味は、甘すぎる、酸っぱい、辛すぎる、苦い、渋い、などと表現されます。
合わせる料理によっては、甘すぎる、酸っぱい、辛すぎるは、美味しく感じられる場合もあります。しかし、苦いと渋いは問題です。 飲み続けると舌の上が苦く、または、渋くなり酒がすすまなくなります。
いずれにしてもコクを感じることができなくなります。

苦味

日本酒を味わう(イメージ)

苦味は、ビールを除くと酒類の味覚としては嫌われる部類です。
自然界では苦味を呈するものは動物にとって「有毒」物質であることが多く、人間にとってもそれは同様です。苦味は、食物として摂取可能か否かを判断する味覚として使用されてきたと考えられています。
「苦味のあるものは口にするな」
と本能が働くようです。子供の苦味に対する嫌がりようは激しいですよね。

ところが成人となり様々な食品を摂取し、味覚経験を積んで発達してくると、苦味が心地よく感じることを理解します。苦味は経験を重ねることで本能に打ち勝って美味と感じる、そんな特徴がある味覚のようです。

筆者が酒を飲見始めた頃、ビールの苦味が苦手でした。それがいつの頃からか、苦味を美味しいと感じるように変わりました。
皆さんも、経験による味覚の変化が起っているか思い起こしてみてください。中には、苦味に対しての味覚が変わらず、「美味」にまで至らない人も居るようですが… 味の好みは、人それぞれですから。

日本酒 発酵過程(イメージ)

日本酒においても、苦味は「感じさせてはならない味」となっています。
しかし、苦味がまったく無いと日本酒は「ボケた」、「味の厚みのない」、「飲みごたえのしない」… いわゆる コクのない酒 になってしまいます。

日本酒は五味の調和によりコクを感じさせるのですが、調和の大きさに苦味が関与しています。
日本酒の苦味成分は、米の蛋白質が分解されて生成したアミノ酸やペプチドであると言われていますので、造りの過程で苦味の頃合いの見極めがたいへん難しいのです。

搾りたてのお酒を飲んだ時に 「この酒は、寝かせた方が旨くなる」 という言葉を聞きますが、それは酒の苦味が瓶の中で変化し、 旨味とバランスが取れてくるという現象を待つことなのでしょう。

皆さんが最近口にされた日本酒、苦味 はどう感じられました?
”苦味が味の厚みを出す” そんな言葉を頭の片隅に置きつつ、日本酒を飲むと、また深い味わいが感じられるかもしれませんね。 日本酒って、面白いですね。