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地酒と土地の文化を楽しもう:宮彫り×相模灘

地酒と土地の文化を楽しもう:宮彫り×相模灘

日本酒は各地の風土に根差し、その地が造り出した一つの文化といえます。
 その地を潤す水が
 その地の気候が
 その地の人々が
お酒の味わいや醸し方に、様々な影響を与えています。

お酒の生まれた土地の風土・文化を知っていただき、お酒に対して更なる愛着を持っていただくことで、より美味しく味わえるのではないでしょうか。そんな思いから、『地酒と土地の文化を楽しもう』 会を立ち上げることにいたしました。

記念すべき第一回のテーマは
 『日常に隠れた芸術 “宮彫り” を知り、銘酒 相模灘 に酔いしれる休日』

久保田酒造さまの蔵の中で、映像作品「宮彫り(*)」の上映会と対談をお楽しみいただき、特設の日本酒Barにて、”相模灘” を堪能し、まさに酔いしれていただくイベントとなりました。

開催日は 2018年 9月 9日(日)

例年ならば、そろそろ秋らしく気温が落ち着いてくる頃
ところが、今年は記録的な猛暑! 東京では最高気温33℃、真っ青な空には入道雲という、真夏のような日でした。

イベント会場となる、久保田酒造さんは、神奈川の北部、相模川に流れ込む串川のほとりにあります。
創業は、1844年(弘化元年)。
蔵の周辺は創業当初の雰囲気を残し、蔵の入り口には立派な古民家が。ここだけすっぽりと時間が止まったような静かな場所です。

蔵までの公共交通は、一時間に一本のバスのみ!
お客様にはトコトコと、路線バスの旅でやってきてもらいました。

バス到着から、「宮彫り」上映開始までは 1時間少々、蔵の中に設えた日本酒Bar(写真TOP)にて、相模灘を味わいながらの自由時間。
希望者には、杜氏さんによる蔵見学ツアーも行われました。

お酒が造られる場を知り、その場で味わう。
その地の風土に根差したお酒を味わう、最上の楽しみ方です♪

この日の日本酒Barのラインナップ
● 相模灘 純米吟醸 美山錦 無濾過生原酒
● 相模灘 純米吟醸 美山錦 火入れ
● 純米吟醸酒をベースにした 梅酒

さらに、さらに…
スペシャルなお酒として、非売品の 18BY の 純米吟醸 美山錦 を出していただきました。

4タイプの「美山錦の純米吟醸」のお酒。
同種の酒米・同じく吟醸造りなのに、芳醇な味わい、サラリと飲みやすいもの、味わいの違いをじっくり楽しんでいただけたようです。特に、11年熟成させたお酒は、熟成酒らしい香なのに、後味すっきり飲みやすく、お酒に詳しい参加者様にも好評な飲み比べとなりました。

さて、定刻(15時)になり、いよいよ本イベントのメインメニュー
映像作品「宮彫り」の上映会です。

本作の画像をこの場でお見せすることはできませんので、さわりだけご紹介します。

 「宮彫りMIYABORI」~carving divinity~
知られざる日本の芸術作品、寺社の建築物に施された彫刻『宮彫り』の魅力を紹介する映像作品。
日光東照宮や、京都の神社の素晴らしい彫物は、多くの皆さんもご存じでしょう。しかし、もっと身近に素晴らしい彫刻が存在します。
 葛飾北斎が影響を受けた作品と注目を浴びている名工「波の伊八」
 江戸彫りの名工「初代後藤義光」の超絶技巧の龍
 伝統の木彫技術を脈々と受け継ぐ、富山県井波の彫刻師
千葉、神奈川、そして現在も多くの彫物師が活動する富山へ… 本作では、その魅力を追って各地で取材を行っています。
仏像彫刻とはまた異なった魅力を放つ宮彫り。私たちの日常に埋もれていた芸術作品を、ぜひ映像でご確認ください。

上映作品についての、詳しいことはこちらをご覧ください。
   >> 神奈川探龍倶楽部 (外部サイト)
 

上の写真は、作品上映の後に行われた対談のワンシーンです。
 左側: 神奈川探龍倶楽部 代表 上田 康史 氏 (映像製作者)
 右側: 久保田酒造株式会社 代表取締役 久保田 晃 氏
映像にはない、神奈川県の宮彫りの紹介や、蔵の近く「津久井」の地についてのお話をしていただきました。

津久井の地の歴史は深く、戦国時代には山城があり、蔵の場所も山城の集落があったところになります。
また、江戸時代には甲州街道の裏道として、商人が行き来した場所です。蔵の最寄りのバス停「無料庵」の名前は、その当時山を越えられない旅人を無料で泊める施設がここに合ったからだそうです。
江戸時代の酒蔵は、庄屋などの豪農がやっていたことが多いですからね。その頃の繁栄がうかがえるエピソードです。

ご覧のように、上映会が行われたのは、蔵の中の醸造タンクの間。
今期の仕込みが始まる前、すでに先期のお酒は瓶詰されてここにはないものの、外よりもひんやりとした蔵の中には、やや甘い麹の香り残っています。

時の経過を感じる、黒々とした黒い柱や梁。昭和30年代の琺瑯タンク。そんな空間で、日本の隠れた伝統文化「宮彫り」について、楽しんでいただきました。

この日のイベントメニューはこれで終了。
相模灘のお酒を、お家でも楽しみたいという方は、古民家内の売店でお酒を購入して帰られました。

津久井湖や、城山公園は、これからのシーズン遊びに行くにはちょうど良い場所。自然を感じるプチ旅行にお出かけした後は、ぜひ寄ってみてはいかがでしょう。
相模灘の美味しいお酒達が、お待ちしております。
お家に連れて帰ったら、ゆっくり津久井の自然を思い出しながら、晩酌も良いものですよ♪
※ 通常は販売のみで、日本酒バーはありません。

過去の、相模灘のお酒と料理の記事はこちら


*「宮彫り」とは
寺社の建築物などに施された装飾彫刻。日光東照宮や、名工・左甚五郎作のものが有名です。
神奈川県にも、知られざる「宮彫り」の芸術作品が存在します。超絶技巧による彫り物は、緻密で素晴らしく、世界が認めた芸術性の高い作品が、街の中の神社・寺院に潜んでいおり、まさに仏像の陰にかくれていた「日本の文化遺産」と云えます。
宮彫りを含む宮大工の技は、2018年「伝統建築工匠の技:木造建築物を受け継ぐための伝統技術」として、ユネスコ無形文化遺産の選定候補として提出されました。審議の結果が出るのは2020年11月。日本人としては、いち早く知っておきたい芸術です。