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酒造好適米事情(青森編) ~日本酒伝道(R)養成講座2~

酒造好適米事情(青森編) ~日本酒伝道(R)養成講座2~

日本酒伝道師(R)養成講座は、1回に2つの講座が組まれています。
第1回は、”日本酒伝道師(R)” の説明の後、前半は和食と日本酒の密接な関係について、そして後半は酒造好適米の基礎知識についての講座となりました。

※ 一限目の様子については、日本酒伝道師(R)養成講座 ~その1:和食との密接な関係~ をご覧ください。

二限目:酒造好適米の基礎知識と最新事情

酒造好適米のお話は、青森県産業技術センターの齋藤先生が講師です。
本題の前に… まずは青森の宣伝ということで、青森の自然・文化・特産物などの魅力をたっぷり語ってくださいました。「自然を尊ぶ」和食文化、それと深い関係のある日本酒は、その地の背景を色濃く映し出しています。さてさて、今回のお話では、どんな繋がりが見えてくるでしょう。

青森県産業技術センター 齋藤氏

(地独)青森県産業技術センター 弘前地域研究所 齋藤知明 先生

酒造好適米とは

日本酒は、米と水から造られる醸造酒です。
米に含まれるデンプンを麹酵素の力で糖に分解し、酵母による発酵で炭酸ガスとアルコールが生成されることで日本酒は醸されています。日本酒造りに使用する米には、様々な種類があり、一般に我々が食用としている種類を ”飯米”、酒造りに適した種類のことを ”酒造好適米” と呼んでいます。

酒造好適米は、大粒で米の中心部に ”心白” と呼ばれる部分があり、タンパク質の含有量が少ない品種をさします。このような特徴のお米は、麹菌が繁殖しやすく、醪(もろみ)によく溶け、アルコール発酵が進みやすいため、酒造りに適しています。

酒造好適米の心白

心白の横断面形状(米をカッターナイフで背腹方向に垂直に切断)

良い酒米(= 造りやすい) というのは、米そのものが大粒で、心白も大きい方がよいのだと思っていました。ところが、心白が大きすぎると、精米時に割れやすくて欠点にもなってしまうのだそうです。割れてしまっては、胚芽や米の外層部(糠層)が上手く取り除けず、酒質を劣化させる要因にもなってしまうのだとか。

このようなことから、「酒造好適米の望ましい形質」は…

  • 大粒・豊満なこと
  • 心白が中央に鮮明にあり、大きすぎないこと
  • タンパク質含有量が低いこと
  • 高度精白に耐え、無効精米率(*1)が低いこと

なのだそうです。
美味しいお酒を、より安定して造るために、酒造好適米の飽くなき改良が続いているのですね。

*1 無効精米率:精米後に割れたり、不良粒が混ざっている割合

青森県で生産する酒米事情

前述のような酒米の特徴を踏まえて… 続いては、青森県における酒米事情のお話しです。

酒造好適米の中で、もっとも有名なのが 山田錦。平成27年度では、酒造好適米の生産量のうち 36% を占めています。二位以下は、五百万石、美山錦、雄町… と続きます。日本酒大好きな方には、どこかで聞いたことのある品種が続いていますね。
山田錦は、全体の63%を兵庫県で生産しています。五百万石は新潟が、美山錦は長野が、とそれぞれ品種によって主な生産地域が異なります。それはなぜか… 南北に細長い日本では、地方によってその気候が大きく変わります。より良い酒米を造るためには、その土地の気候に合った品種を選んで育成しているのです。

酒造好適米の色々

出典:株式会社アスク 米栽培テキスト より (一部抜粋)

青森県は、ご存じのとおり北国です。春が遅く、冬が来るのが早い。さらに、太平洋側の地域では夏には偏東風(ヤマセ)が吹きます。このような事情により、青森では山田錦のような晩生種も、五百万石のような早生種も育成が難しく、稲の背の高い品種では晩夏から初秋の風によって倒伏するリスクがとても高くなってしまいます。
このような事情から、青森では華吹雪・華想いといった中生短稈の品種(*2)を中心に生産されているそうです。

*2 中生短稈のイネ:早生でも晩生でもなく、茎の短いイネ

青森のNEW FACE「華さやか」

酒造好適米「華想い」は平成14年に青森県にて改良された品種です(詳しい情報は こちらに)。大吟醸酒の地域ブランド商品の確立に向けて作られたもので、50%精米にしても割れにくく、旨い酒が造れました。しかし、病気に弱い性質であり、県内の多くの地域で生産するのには難しいという問題が残ってしまいました。

そこで、更なるチャレンジで生まれたのが「華さやか」です。
この品種は、耐冷性に強く病気にも強いと、見事に弱点を克服しました。「華さやか」で、きれい・スッキリとした酒を醸すプロジェクトが平成24年に立ち上がり、4年の月日をかけて平成27年に、華さやかのお酒がデビューしました。

※ 華さやかブランド HP は、こちら

初日を終わって…

華さやかで乾杯

日本酒伝道師(R)養成講座、一日の最後は必ず懇親会です(^^)。
この日は、7つの蔵で造られた「華さやか」のお酒の飲み比べとなりました(冒頭の写真)。
スッキリと飲みやすいモノから、吟醸香の立つものなど、同じ米を使ったお酒でも、その味わいは蔵ごとに個性があります。平成29年度はデビュー3年目となるのですね。ぐんぐん成長する稲を見ながら、今年はどんな香味にしようかと、各蔵の杜氏さんたちは設計に頭を悩ませているかもしれませんね。

講義で聞いたばかりの話を思い起こしながら、それぞれの酒を味わい、皆でその感想を言い合ったのは最初のうち。後半は、ただただ美味しいお酒と料理を堪能しつつ、日本酒伝道師(R)のオタマジャクシ達の懇親会は盛り上がったのでありました。


※ 注 ※
この記事は筆者が受講して、特に印象深かった点を中心に記述しています。実際の講座では、本記事にない色々なお話がなされています。また、ところどころ感想もまじえておりますので、ご了承ください。